クレーム対応完全マニュアル 第3話
【クレーム対応完全マニュアル 第3話】「できません」が炎上しない伝え方|修理不可をお客様に納得してもらう技術
「申し訳ございませんが、修理はできません」
この一言が炎上するか、沈静化するか。
その違いは、伝え方で決まります。
現場で最も多いクレームのひとつが「修理クレーム」です。しかし、技術的に修理ができない商品は必ず存在します。素材の劣化、廃盤パーツ、構造上の限界——理由はさまざまですが、「できません」を伝えなければならない場面は避けられません。
私は現在も外資系ラグジュアリーブランドでプレーイングマネージャーとして現場に立ち続けています。数千件の修理クレームを経験し、修理不可を伝える場面を何度も乗り越えてきました。
伝え方を間違えると、お客様の怒りが個人に向き、SNSで拡散され、クレームが炎上します。
「できません」を伝える技術は「準備」と「伝え方」が9割
この記事では修理不可を納得してもらう技術を完全公開します
修理不可を伝える前の準備(最重要)
「できません」を伝える前に、準備が9割です。
準備を怠ると、お客様から「なぜ?」と問われた時に答えられず、信頼を失います。
準備①:QC(品質管理部門)に腹落ちするまで確認する
まず、なぜ修理ができないのかを自分自身が理解する必要があります。
QCからの回答を鵜呑みにせず、以下を確認してください:
- 修理不可の理由(素材劣化・パーツ廃盤・構造上の限界など)
- 代替案はないか(部分修理・クリーニングなど)
- お客様にどう説明するか(専門用語を使わずに説明できるか)
この段階で、自分の言葉で説明できる状態にしておくことが最重要です。リハーサルまでしておくと、実際の場面で焦らずに伝えられます。
準備②:決裁権を上司(リテール)と確認する
「できません」を伝えた後、お客様が納得しない場合に備えて、どこまで対応可能かを上司と事前に確認しておきます。
- 交換は可能か
- 返金は可能か
- 特別対応の範囲はどこまでか
この確認を怠ると、お客様の前で「上司に確認します」を繰り返すことになり、信頼を失います。
「できません」を伝える3原則
準備が整ったら、実際に伝えます。この時、3つの原則を守ってください。
原則①:トーン(声のトーン・態度)
大変申し訳なさそうに・抑えめに伝える
断定的な口調、強い口調は絶対にNGです。「修理はできません」ではなく、「大変申し訳ございませんが…修理ができない状況でして…」というトーンで伝えます。
原則②:タイミング
お客様が話し終わるまで傾聴する
途中で遮らない、話を最後まで聞く、これが鉄則です。お客様が話し終えた後、静かに伝えることで、受け入れてもらいやすくなります。
原則③:言葉(最重要)
「私の判断」ではなく「会社の決定」として伝える
「私では判断できず、会社に確認しましたところ、◯◯の理由で修理ができません」と伝えることで、個人攻撃を防ぐことができます。お客様が矛先を向ける相手が「個人」ではなく「会社」になるため、あなた自身への攻撃が減ります。
修理不可を伝える完全シナリオ
実際の会話の流れを見ていきましょう。
STEP1:傾聴(お客様の話を最後まで聞く)
お客様:「この財布、買ってまだ半年なのにファスナーが壊れたんです。すぐ修理してください」
あなた:「ご不便をおかけして申し訳ございません。お預かりして確認させていただきます」
(お客様の話を最後まで聞く。遮らない)
STEP2:共感
あなた:「おっしゃる通りです。まだ半年でしたら、ご不安になられるのは当然です」
STEP3:ワンクッション
あなた:「お預かりしまして、会社の品質管理部門に確認しましたところ…」
STEP4:理由を自分の言葉で説明する
あなた:「このファスナーは特殊な構造で、交換用のパーツが廃盤になっており、修理ができない状況でございます」
STEP5:謝罪
あなた:「大変申し訳ございません」
(声のトーンは抑えめに、申し訳なさを態度で示す)
この流れを守ることで、「できません」が炎上しにくくなります。
納得しない場合の次の一手
「会社の決定」として伝えても、納得しない場合があります。この時、判断基準を持っておくことが重要です。
判断基準
- ① 商品の不具合がこちらから見ても明確か
- ② 購入から1ヶ月未満か
両方当てはまる場合:交換を提案する
あなた:「大変申し訳ございません。今回は特別に、新品とお取り替えさせていただきます」
返品・返金は避けるのが鉄則です。返金してしまうと、そこでお客様との関係が終わります。交換であれば、関係を継続できます。
よくある失敗パターン
❌ 失敗①:「私では判断できません」だけで終わる
これでは、お客様は「では誰なら判断できるのか」と不信感を抱きます。必ず「会社に確認しましたところ」と伝え、会社の決定であることを示してください。
❌ 失敗②:理由を説明せずに「できません」だけ言う
理由がないと、お客様は納得できません。「なぜできないのか」を自分の言葉で説明することが必須です。
❌ 失敗③:強い口調で言い切る
「修理はできません」と断定的に言うと、お客様の怒りが増します。「大変申し訳ございませんが…できない状況でして…」と抑えめのトーンで伝えてください。
まとめ
「できません」を伝える技術は、準備と伝え方で決まります。
- ✅ 修理不可を伝える前にQCと連携して腹落ちする
- ✅ 決裁権を上司と確認しておく
- ✅ 「会社の決定」として伝えることで個人攻撃を防ぐ
- ✅ トーンは抑えめ・タイミングは傾聴後
- ✅ 納得しない場合は交換で解決を目指す
この5つを意識するだけで、修理クレームの沈静化率は劇的に変わります。
📋 明日からできること
- ✅ QCへの確認項目リストを作る(修理不可の理由・代替案・説明方法)
- ✅ 上司と決裁権の範囲を確認する(交換・返金・特別対応の基準)
- ✅ 「会社に確認しましたところ」の一言をリハーサルする(個人攻撃を防ぐフレーズ)
📖 次回予告
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