アップセル・クロスセルの技術|お客様に喜ばれながら客単価を上げる方法

売れる接客、教えます

【第16話】客単価を上げるセット提案とアップセルの技術

📅 公開日:2026年5月11日
第16話:客単価を上げるセット提案とアップセルの技術

📖 売れる接客の教科書シリーズ

第1章(基礎〜販売):第1〜10話はこちら

▶ 第2章:個人売上 実践強化編

第11話:アプローチ精度 第12話:接客の終わり方 第13話:決定率アップ 第14話:切り返し術 第15話:高額商品の見せ方 第16話:客単価アップ 第17話:インバウンド接客 第18話:クレーム対応 第19話:繁忙期対応

「客単価を上げなさい」と言われても、どうすればいいかわからない。追加提案をしようとすると押し売りになりそうで怖い——そんな悩みを持っている販売員は多いと思います。

結論から言います。客単価を上げるために、まず必要なのは「打席を増やすこと」です。

私は現在も外資系ラグジュアリーブランドでプレーイングマネージャーとして働いています。客単価が高いスタッフに共通しているのは「強引さ」ではなく、「必ずもう一点おすすめしていること」です。

シンプルに聞こえますが、これができていないスタッフが驚くほど多い。

まずは打席を増やす。打率は後からついてくる。

客単価アップの本質は「打席数」にある

セット提案ができない販売員の多くが、こう考えています。「断られたら嫌だな」「押し売りだと思われたら怖い」

でも考えてみてください。提案しなければ、その時点で成約率はゼロです。提案すれば、断られても0。通れば1。プラスにしかなりません。

おすすめする回数が増えれば増えるほど、プラスになる回数は必ず増えます。まずは打席を増やすこと。打率の改善は、その後でいい。

この発想に切り替えるだけで、セット提案への恐怖心がなくなります。

打率を上げる——「○○だから合う」を言語化する

打席を増やしながら、同時に打率も上げていきます。

打率を上げるための鍵は「なぜAとBが合うのか」を言語化することです。

「こちらもいかがですか?」では弱い。「○○だからこれと合わせるのがいいです」と、理由を明確に腹落ちする言葉で伝えることが大切です。

セット提案の言語化3パターン

パターン①:素材・デザインの統一

「同じシリーズで揃えると、バッグから財布を出した瞬間に統一感が伝わります。それだけで全体の印象が上がります」

パターン②:シーンの拡張

「こちらはデイリー使いに最適ですが、このバッグは夜の席にも使えます。1つ持っておくだけで、シーンの幅が一気に広がりますよ」

パターン③:体験の強化

「このバッグと一緒にスカーフを結ぶと、同じバッグでも全然違う表情になります。気分で変えられるのが楽しくて、セットで持たれているお客様がすごく多いんです」

断られたことが次回の武器になる

セット提案を断られた時、多くの販売員はそこで終わりにしてしまいます。でもそれはもったいない。

断られたことは、次回来店時の最高のアプローチネタになります。

「先日ご覧いただいていたスカーフ、まだございますよ」

「あの時気になっていらっしゃいましたよね。新作も入りましたので、ぜひまた見てみてください」

断られた商品は、次回の「つなぎ」に変わります。むしろ断られることで、次回来店の理由が生まれます。

クロスセル:種まきと収穫の2段階で考える

セット提案には「種まき」と「収穫」のタイミングがあります。

STEP1:種まき——接客中にさりげなくチラ見せする

「こちらも同じシリーズです。よろしければ後でご覧ください」と一言添えるだけ。深追いはしません。

STEP2:収穫——1点が決まった直後が最大のチャンス

「バッグを買う」という決断が下りた瞬間、財布の紐は最も緩んでいます。この瞬間が、追加提案の最高のタイミングです。

「こちらはいかがですか?今ご覧いただいているものと相性がよくて」

「同じシリーズで揃えると、コーデ全体がまとまりますよ」

断られても全然OK。次回のフックになります。

まとめ

  • まずは打席を増やす——おすすめする回数が増えれば、プラスになる回数は必ず増える
  • 打率を上げるには「○○だから合う」を言語化する——理由が腹落ちすれば押し売りにならない
  • 断られたことは次回来店のアプローチネタになる——断られることを恐れない
  • 種まき(チラ見せ)→収穫(決定直後)の2段階で設計する
  • 客単価アップは強引さではなく、提案の回数と言語化で決まる

📋 明日からできること

✅ 今日の接客で必ず1回追加提案をする

断られてもいい。まず打席に立つことが最初の一歩

✅ 「○○だから合います」の理由を1つ準備する

出勤前に「この商品が売れたら次はこれをすすめる」というペアを1つ決めておく

✅ 断られた商品を次回のネタにする

「先日ご覧いただいていた◯◯、まだございますよ」——この一言が再来店のきっかけになる

📖 次回予告

【第17話】現役ラグジュアリーブランドマネージャーが教える|外国人客・インバウンド接客術

言語の壁は「道具と一言」で超えられます。