【第16話】客単価を上げるセット提案とアップセルの技術
📖 売れる接客の教科書シリーズ
第1章(基礎〜販売):第1〜10話はこちら
▶ 第2章:個人売上 実践強化編
「客単価を上げなさい」と言われても、どうすればいいかわからない。追加提案をしようとすると押し売りになりそうで怖い——そんな悩みを持っている販売員は多いと思います。
結論から言います。客単価を上げるために、まず必要なのは「打席を増やすこと」です。
私は現在も外資系ラグジュアリーブランドでプレーイングマネージャーとして働いています。客単価が高いスタッフに共通しているのは「強引さ」ではなく、「必ずもう一点おすすめしていること」です。
シンプルに聞こえますが、これができていないスタッフが驚くほど多い。
まずは打席を増やす。打率は後からついてくる。
客単価アップの本質は「打席数」にある
セット提案ができない販売員の多くが、こう考えています。「断られたら嫌だな」「押し売りだと思われたら怖い」
でも考えてみてください。提案しなければ、その時点で成約率はゼロです。提案すれば、断られても0。通れば1。プラスにしかなりません。
おすすめする回数が増えれば増えるほど、プラスになる回数は必ず増えます。まずは打席を増やすこと。打率の改善は、その後でいい。
この発想に切り替えるだけで、セット提案への恐怖心がなくなります。
打率を上げる——「○○だから合う」を言語化する
打席を増やしながら、同時に打率も上げていきます。
打率を上げるための鍵は「なぜAとBが合うのか」を言語化することです。
「こちらもいかがですか?」では弱い。「○○だからこれと合わせるのがいいです」と、理由を明確に腹落ちする言葉で伝えることが大切です。
セット提案の言語化3パターン
パターン①:素材・デザインの統一
「同じシリーズで揃えると、バッグから財布を出した瞬間に統一感が伝わります。それだけで全体の印象が上がります」
パターン②:シーンの拡張
「こちらはデイリー使いに最適ですが、このバッグは夜の席にも使えます。1つ持っておくだけで、シーンの幅が一気に広がりますよ」
パターン③:体験の強化
「このバッグと一緒にスカーフを結ぶと、同じバッグでも全然違う表情になります。気分で変えられるのが楽しくて、セットで持たれているお客様がすごく多いんです」
断られたことが次回の武器になる
セット提案を断られた時、多くの販売員はそこで終わりにしてしまいます。でもそれはもったいない。
断られたことは、次回来店時の最高のアプローチネタになります。
「先日ご覧いただいていたスカーフ、まだございますよ」
「あの時気になっていらっしゃいましたよね。新作も入りましたので、ぜひまた見てみてください」
断られた商品は、次回の「つなぎ」に変わります。むしろ断られることで、次回来店の理由が生まれます。
クロスセル:種まきと収穫の2段階で考える
セット提案には「種まき」と「収穫」のタイミングがあります。
STEP1:種まき——接客中にさりげなくチラ見せする
「こちらも同じシリーズです。よろしければ後でご覧ください」と一言添えるだけ。深追いはしません。
STEP2:収穫——1点が決まった直後が最大のチャンス
「バッグを買う」という決断が下りた瞬間、財布の紐は最も緩んでいます。この瞬間が、追加提案の最高のタイミングです。
「こちらはいかがですか?今ご覧いただいているものと相性がよくて」
「同じシリーズで揃えると、コーデ全体がまとまりますよ」
断られても全然OK。次回のフックになります。
まとめ
- ✅ まずは打席を増やす——おすすめする回数が増えれば、プラスになる回数は必ず増える
- ✅ 打率を上げるには「○○だから合う」を言語化する——理由が腹落ちすれば押し売りにならない
- ✅ 断られたことは次回来店のアプローチネタになる——断られることを恐れない
- ✅ 種まき(チラ見せ)→収穫(決定直後)の2段階で設計する
- ✅ 客単価アップは強引さではなく、提案の回数と言語化で決まる
📋 明日からできること
✅ 今日の接客で必ず1回追加提案をする
断られてもいい。まず打席に立つことが最初の一歩
✅ 「○○だから合います」の理由を1つ準備する
出勤前に「この商品が売れたら次はこれをすすめる」というペアを1つ決めておく
✅ 断られた商品を次回のネタにする
「先日ご覧いただいていた◯◯、まだございますよ」——この一言が再来店のきっかけになる
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